脂肪肝とは?
中性脂肪が肝臓に溜まった状態のことで、メタボリックシンドロームを併発しやすく、放っておくと肝炎や肝硬変を引き起こします。
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余分なエネルギーはグリコーゲンや中性脂肪につくり替えられ、体にたくわえられます。中性脂肪は腸間膜(内臓脂肪)や皮下脂肪組織にたくわえられるほか、肝臓にも貯蔵され、肝細胞の30%以上に中性脂肪がたまると脂肪肝と診断されます。
原因のほとんどは過食と多量飲酒ですが、糖尿病・ステロイド剤の服用・栄養障害による代謝異常なども原因になります。
特にアルコールではなく過食が原因で脂肪肝から肝炎・肝硬変となる病気はNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)と呼ばれ、注目されています。
肝臓って何もの?
肝臓は、強く大きく、働き者の臓器です。およそ3,000億個の細胞から成り、重さは成人で1~1.5㎏と体重の約1/50に相当する人体最大の臓器です。
肝臓には「動脈」と「静脈」に加えて「門脈」という血管があり、胃腸や膵臓、脾臓といった腹部内の主な臓器からの血液は、心臓に戻る前に門脈を通って肝臓に集まります。
とても辛抱強く、少々のダメージではへこたれません。肝機能が正常であれば、実に全体の75~80%切り取られても、自らを修復しながら黙々と働き、半年後には元の大きさに回復します。
この高い再生能力のおかげで機能が少々低下してもはっきりとした症状は現れず、自分ではなかなか気付きません。
そのため、肝機能の不調は健康診断で発見される場合が多いのです。
こんなところから「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
肝臓はスペシャルな臓器!
肝臓は500以上の仕事をこなす特別な臓器です。
その幅広い働きの中でも大切な3つの役割があり、
- エネルギーの貯蔵
- 解毒
- 胆汁の生成
です。
エネルギーの貯蔵
脳の主要なエネルギー源であるブドウ糖(グルコース)を供給しているのが肝臓です。
脳は睡眠中もエネルギーを必要としているので、その補給はほぼ24時間欠かせません。
いつでも補給ができる態勢に整えつつも、血糖値が上がり過ぎることがないように、肝臓はブドウ糖をグリコーゲンの形で備蓄しています。
胆汁の生成
肝臓では、コレステロールと胆汁酸から胆汁をつくり出しています。
胆汁にはいくつかの役割があり、その1つが脂質の消化吸収を助ける働きです。
もう1つは、古くなった赤血球や微量金属など、肝臓で処理された不要物を排泄する役割。
また、胆汁の材料にすることで、血中のコレステロール濃度を調整するという働きもあります。
胆汁は胆嚢に貯蔵され、脂肪分が体内に入ると、胆管を通って十二指腸と小腸に出て行きます。
解毒
肝臓は、身体に有害な物質を分解して無毒化する「解毒」の働きをします。アルコール、栄養素を代謝するときや過度の運動によって体内で発生するアンモニア、薬なども身体にとっての有害物質です。肝臓は、これらを無害なものへと処理します。
脂肪肝になるとどうなるの?
肝臓にたまる脂肪そのものは内臓脂肪から区別されますが、脂肪肝の多くはメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を合併しており、脂質異常(高中性脂肪・高LDLコレステロール・低HDLコレステロール)を起こしやすく、動脈硬化の重要な原因になります。
また血液がドロドロの状態になるため、血流が悪くなり、全身の細胞に酸素と栄養分が行き渡らなくなる。そのため、体がだるい、疲れやすくなる、肩が凝る、頭がぼーっとする、といった症状が出ることも。
その他に腹部の違和感などが挙げられるが、これらの症状はある程度進行しないと自覚症状として現れない。